2010/08/31(火)【2010年8月講座】永堀 吉彦氏 「逆転の発想で農業改革!」

記録者 4班 (有)萌企画 代表取締役 福島 紀子
【日 時】平成22年8月19日(木)午後6時から
【場 所】上尾商工会議所 大会議室
【講 師】(株)ナガホリ 代表取締役 永堀 吉彦氏
【テーマ】逆転の発想で農業改革!

2010年8月講座-1

 永堀氏は、上尾生まれの上尾育ち。江戸時代から続く専業農家で、12代目として、家業を継いでいる。
 ご両親とのトマト栽培からはじまり、今は200人程の従業員を雇用する大規模農業へと発展させた。実践から繰り返される農業のあり方をご自身の経験を交えて話された。

 専業農家が次々とやめていく中で、疑問は売り方から始まった。
 農協を通すと価格が高くなる。消費者の立場になれば1円でも安くなった方が良い。
どうすれば、良いか…
『自分で売ろう!直接売れば、1円でも安く売れる』
農協とは、縁を切った。

 そこで、露天を始める。トウモロコシ・大根…直接売れば、安く売れる。お客さんも喜ぶ。
売るために、いろいろな方法を試みた。しかし、現実は厳しかった。

2010年8月講座-2

『今日は来るけど、明日はわからない…。』
不安定な収入と、家業を続けていかなくてはいけない現実。
どうしたら良いか…悩み、迷い、手探りの日々を送りながら、模索する日々が続いた。

まず、
 ◆消費地に近い上尾の立地を活かそう。
 ◆生産基盤の農地を確保して商品を安定供給させよう。
そして、なによりも
 ◆人材を大切にしよう。
 ◆能率給にして、生きがいとやりがいのある専門ごとの作業にし、
 ◆年齢制限を無く雇用しよう。

 経営者としての資質を高めるため、商業簿記を取得し、相続贈与税の勉強もした。
 そして、生産規模を拡大するため、近隣の農家を回り休耕地を借りた。荒れ放題の休耕地を、自らブルドーザーに乗り、開墾をした。木の株を掘り起こし、耕し、次々に、耕地面積を増やして行った。

2010年8月講座-3

 見向きもされなかった荒地は、見事に再生され、平成7年、2haだった耕地面積は、平成19年には45haにまで、広がった。
そこに小松菜を植えた。なによりも、商品を安定させたい。夢は現実につながって行った。

 この、成功は全国の農業生産者の興味をさそい、国や県の農業関係者を大いに、揺るがすものになった。

 『年齢経験不問・自然の中で働きませんか』と、募集した求人に130人もの人が押しかけ、今は、定年を過ぎた方たちが、生き生きと仕事をしているとの事でした。
 かつて3Kと呼ばれた『きつい・きたない・きけん』を、『感動できる・稼げる・かっこいい』の3Kにし、農業を脳業に変え、埼玉で生産される小松菜の50%を上尾のナガホリ農園が占めると言われるようになりたいと、思いを語られた。

 永堀氏の真摯な姿勢は、これからの農業の可能性を拡大させ、多くの大学生からの就農希望を誘引し、農業イコール農協という、従来の秩序に頼らない発想の転換を図りながら、農業の発展と再生力に力を注ぎ、実践農業に結果を見出していった。
 そして、『自己研鑽を重ね、農業従事者だけではなく、いろいろな人の意見を聴くこと。発想の転換をし、荒れている畑は、宝の山。全国展開をして行きたい。』と、締めくくられた。

グループディスカッションでは、
『日本経済を衰退から救うためには、どうすれば良いのか』
と、これまた、Globalな課題が提供され、各班ごとにディスカッションを重ねた結果、

1.国産ブランドの価値を高め、国内消費を図る。
2.日本には資源がないので、人材を育成する。
3.政治にかかわっていくことで、個々の意識を高める。
4.現状の産業の活性化を図る。(福祉・サービスなど)
5.若い人が暮らしやすい日本であること。
 (子育てのしやすい環境・保育園の充実など)
等々の、意見が発表された。

2010年8月講座-4

 以上、8月講座のまとめですが、私個人として、たった一人で始めた、荒地の開墾。
 農業の未来を大きく変えた永堀氏の信念に心からの賛辞を述べたいと思います。

 失敗も多々あったことでしょう。
 でも、このヒントがこれからの農業の未来を変え、多くの人々の心を動かす原動力になって行くことを願っています。

 これからも、安心で安全、そして安価でおいしい野菜を提供して下さることを、お願い致します。

 本日は、貴重なお話をありがとうございました。
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