2009/10/30(金)【2009年10月講座】肥土伊知郎氏『ウイスキーにかける情熱」を受講して

〔記録者〕1班 社会福祉法人あげお福祉会 西野 隆弘氏
【日 時】平成21年10月15日(木)18:00~
【場 所】上尾市商工会議所 大会議室
【講 師】(株)ベンチャーウイスキー 代表取締役 肥土 伊知郎氏
【テーマ】『ウイスキーにかける情熱』

2009年10月講座の模様-1

 私はお酒と言えば飲みに行ってもビールばかりですが、もちろん嫌いではありません。どのようなお話になるかと楽しみにしていました。
 お話は、実家の江戸時代からの造り酒屋に生まれ、経営が傾き始めてからのところから始まりました。もう駄目だ、死んでしまおうか、と思ったこともあったそうですが、すでに樽に20年も詰まっていたウイスキーを助けたいという気持ちがあり、とことんまで働いてダメになってから死ねばよいと思ったそうです。

 樽の行先は決まりました(それを探すのも大変な努力だったと思いますが)。
 しかし市場はサントリーとニッカの寡占状態です。
 メジャーではなく、マイノリティーを攻める。
 自分の土俵を作ろうということで、ウイスキーに自らの名前をつけて勝負に出たそうです。ウイスキーの愛好家は特異なものに興味をそそられるようで(マニアの世界は得てしてそうなのでしょうか)、バーを夜な夜な回って研究したそうです。

2009年10月講座の模様-2

 その後はこだわりのウイスキー作りについてのお話でした。
樽や、蒸留の方法、モルティングの話など、「専門家には面白いのですが…」とおっしゃいながら説明していただきました。
「樽を作るには木を育てなくてはならない、樽を作るまでには90年もかかる。ウイスキーになるには100年以上かかる。」というお話は、次の世代に受け継いでいくこと(環境問題も含めて)の大切さなども含まれていました。

2009年10月講座の模様-3

 スライドでこのような中身がありました。

「一つの作業自体がウイスキーに与える影響はごくわずかかもしれない。しかし畑や森からスタートし、ウイスキーには長い時間、そして多く工程があり、多くの人々が関わっている。積み重ねていくと最後には大きな差が出る。だから、すべての工程でベストを尽くす。それが私たちの考えるクラフツマンシップである。」

 お話の中で一貫していたのは、こだわりをもって情熱を注ぐことによって、自分たちしか作っていない特別なものが出来あがる、それが評価されたのだ、ということでした。

 ものづくりだけにとどまらず、我々の日常の中にもたくさんそのような場面があると思います。些細なことでも面倒くさいと思って、手を抜くと結果的には良いもの・思ったようなものは出来あがって来ない。周りの人の協力を得ようと思ったら、ひとりずつ・ひとつずつ説明をして行き、最後には共通の理解に基づいた良いものが生まれてくるのでしょう。

 ウイスキー作りの成果は長い年月がかかる。物を作り上げていくけど、妥協をしない、そこで勝負しているという、先生の静かで深い情熱を感じることができた講義でした。
 最後に、「酒造メーカーとして」と先生がおっしゃられていました。お酒は楽しんで人に迷惑がかからないように、これからも(は?)付き合いたいと思います。ありがとうございました。

2009年10月講座の模様-4
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